コンセプト

先日友人に会って、今後一緒に活動する仕事の打ち合わせだった。異業種の組み合わせとあってか、ゼロからイチに作り上げる作業はとても困難だけど、誰も見たことがない取り組みというのは、やっぱり楽しい。新しく何かを始める時は、自分が日頃抱いている思想とかコンセプトが、とても大切になってくる。そもそも、自分は何を伝えたくて、日々活動しているんだろう…と、たまには真面目な話を誰かとしたくなるものだ。頑張っている人と会って話をすることで、自分が進んでいる道を今一度、立ち返ることができる。ちなみに月乃写真室のコンセプトは、〝今日という一日の尊さ、幸せに気づく〟です。写真には、そんな力がある。また、このコンセプトがあれば、写真だけに留まらず、どんな物事にも置き換えることができたりする。これに共感してくれる人と一緒に仕事がしたいなぁと、日々思っている。


単価の正解ってなんだろう?

5月9日。今日は展示イベントでの、もう一つのお楽しみでもあった撮影会。せっかく本屋さんでやる撮影会だったら、「本と一緒に写るのはどうやろか?」という、メリーゴーランドさんからの提案だった。二つ返事で、「それいい!」と言ったのが一年前になる。予約は少し時間がかかったものの、嬉しいことに満席となった。そして当日である今日、来てくれたお客さんには、なんだかとっても喜んでもらえた気がする。本と写ることなんて滅多にないし、実際、その発想というか、本と写真を撮るなんてこと自体、普通は思い付かない。本屋さんとしては自然な発想かもしれないけど、今までありそうで無かったなぁと、メリーさんにはつい頭が下がる。

記念撮影は、イベントのコンテンツとしてこれまで何度か行っているけど、毎度、単価設定でけっこう頭を悩ませたりしている。今回もフライヤー校正のぎりぎりのタイミングまで考えた。でも、初めからある程度自分の中で答えは出ていて、それは〝イベントとして気持ち悪く感じない価格か?〟みたいな、至って抽象的な裏付けである。小さな町の子どもの本屋さんで、単価1万円を越えるフライヤーの打ち出しというは、なんだか気が引けてしまうし、そこまで大掛かりな撮影セットを組む訳でもない。あくまで、いつもの店内の変わらない風景の中で撮るもの。なので、数字が前のめりする印象は、少しでも与えたくないのである。あとは、その方がスタッフさんも接客で勧めやすい。とてもシンプルな事なのだけど、色々と日々の仕事に追われたり忙しくなってくると、重要な判断が、なにも裏付け無しで進行してしまったりして、結果的に落とし穴へ落ちてしまうケースは結構多い。こういった組み立てをする時は、なるべく何度も何度も、一歩下がって引いてを繰り返し、全体を見つめ直す。

イベントではなく、普段からの記念撮影という仕事の単価設定は、周りでも悩む人は実際に多い。もちろん、高めに頂く事に越した事はないのだけど、やっぱりプライスレスなものでもあるので、安かったらいい、高ければいい。という正解はどこにも無い。SNSが普及しきっている今、撮影する人は星の数ほどいて、一回で五万円で撮る人もいれば、千円で撮る人だっている。僕はどちらも、その価格に〝きちんと自分を納得させる裏付け〟があって、結果目の前の人が喜んでくれたら、それでいいと思っている。百円のお寿司があれば、一貫千円するお寿司だってある。どちらも、お客さんに喜んでもらう。という本質の部分だけいえば、両者大きな変わりはない。

僕の場合は、五年、十年先も活動が続けられて、家族三人を養えること。その裏付けを盛り込もうと思うと、決して安売りはできない。という単価設定になる。二児のパパ、頑張らないといけない。



かぞく、はれのひ

私たちが、家族のように慕っている夫婦のウェディング撮影。

笑顔が絶えず、ずっと和やかな空気が流れていました。

無事に実現できて、本当に良かった。ありがとう。

WEDDING


いつも誰かに影響を受けている

5月7日。今日も雨が降った。とにかく最近雨が多くて、雨が降ると展示が少し暗くなってしまうのが残念だったから、昨日スタッフのみわこさんと照明を少し増やして角度も変えてみた。これが結構いい感じになって、気になったら即行動&改善する大切さを改めて感じている。日々、経験と勉強です。実は全部で151枚の写真を展示していて、会場の面積に対しての写真量だけでいえば、もしかしたら今やっている全国の写真展で一番なのでは…。と、根拠の無い事をみわこさんに話して、ひとりニタニタしたりしています。(本当に根拠はありません)

今回の展示で嬉しいのが、三重県で活躍されている同業の方がたくさん見に来て頂いているということ。嬉しい気持ちもあるし、正直少しドキっともする。でも回り回って、やっぱり嬉しい。わざわざ来てくれるという事は、そこに何かを感じて、見てみたい。って、思ってくれたという事だから。

話しをしていると、皆んなどこかで下積みの経験や、先生や師匠と呼ぶような方に教えてもらった事がある。という背景を持っていたりします。ずっと一人でやってきている自分にとっては、それがとても新鮮に映ったりして、〝写真を仕事にするまで〟の過程や道のりが人それぞれ違って面白い。自分ももっと早く、それこそ20代半ばの頃にこの職業に出会っていたら…、今の景色はまた変わっていたのかなぁとか、つまらない事を考えたりしてしまいます。周りには写真とカメラを教えてくれる人、話しをできる人がいなかったので、とにかくインターネットを使って気になる写真家の作品をたくさん見て、実際に模写して撮ってみたりしていました。編集ソフトを触り始めた頃は、画面の横に参考写真である色見本を置いて、真似して色編集をたくさんしてみたり。とにかく、会った事もない憧れの人の作品を真似してみる。それをたくさんやり続けて、ようやく自分の好みや輪郭、みたいな物が少しずつ出るようになってきて、今振り返れば、多分そのタイミングくらいでお仕事を少しずつ頂けるようになったように感じています。自分にとって「真似る」は、「学ぶ」のスタートなのです。今でも、毎日のように誰かに影響を受けているし、いいと思った作品、言葉も、すぐに自分の血肉にして、また明日も頑張ろうと思えるのです。展示の在廊をしていると、有難いことに、そんな出会いがいつも溢れていて、時間さえあれば在廊がしたいです。

明日は誰が来てくれるのだろう。メリーゴーランドで、たくさん話しましょう。5月24日までです。



はるのひ

はるのひ。今春出版された絵本である。メリーゴーランドで試し読みして、話しがとても良かったのと、何より絵が素敵だ。部屋に飾りたくなるような表紙。絵だけで、ぐっとくる。少年がお山で畑仕事をしていたお父さんから、何度も振り返りながらも遠くへ離れていき、どんどん森の奥へ入っていく。夕焼けのなか少しずつ寂しさを感じる、少年の話。誰もが小さい頃に一度は体験をしたことがあるような、懐かしく、優しい気持ちにさせてくれる。

そうだ。私は、こんな気持ちになれるような、写真を撮りたいのだ。明日も頑張ろう。

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