あなたに撮ってほしいと、思える人

鳥取を拠点とする、写真家でもありライターの顔も持つ藤田和俊さんが会社を設立された。その名も「僕ら、」である。僕の数少ない、大切な写真家の友人。一年ほど前に、これが構想段階の時に、その名前をご本人から聞いたことがあった。僕はなんだか、「藤田さんらしいなぁ」と思った。カメラを構えている時、いつも少年のように楽しそうにする藤田さんの姿が、とっさに浮かんできたからだ。

元々、新聞記者だった藤田さんは、写真を撮ることよりも、書いたり、人の話しを聞くことを仕事にされていたこともあって、とても聞き上手といっていいのか、話していてとても気持ちがいい。藤田さんは、「僕は写真と言葉で伝えていきたい」と、よく口癖のように言っていた。それは、藤田さんの眼差しによって見つけられた、鳥取県の暮らしの豊かさや、そこで出会う人々、その人たちに秘めた、日々を強く生きる姿や、これまで誰にも語ることのなかった物語。そこに写真で光を当て、丁寧な文脈で紡いでいく作業。人には、今いる地点に辿り着くまでに、いくつかのストーリーが必ずあって、それはずっとこの先も続いていく。藤田さんはそこを丁寧に汲み取り、柔らかく、強く、背中を押してくれる。取材された人、撮影を依頼した人が少し照れ臭そうに撮られているように見えても、「またいつか、あなたに撮ってほしい」と、きっと最後はそう感じているのだろうなと、僕にはそう見えてくる。人が好きで、その人の本質の部分に触れたいと行動する藤田さんには、そんな魅力がある。

長年ウェディングプランナーを勤めてきた、パートナーである奥さんの里美さんが加わった。出来上がったウェブサイトを見た時、ブワーっと、ふたりの意気込みが伝わってきたし、他業種であった里美さんとの掛け算が、見事に同じ方向を向いているように感じた。僕は正直、少し悔しくなってしまった。それくらい、パワーとか、大きな歩幅で踏み込んでいった、強い想いを感じたのだ。僕は記事を読んでいると、また鳥取に行きたくなった。

「僕ら、」ウェブサイト


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