知ろうとすること

妻が手作り子ども服を製作販売しており、来月、初の受注販売会を行うことになった。なので近頃の平日の昼間は、ミシンの音が家中に響き渡る。僕は縫うことは全くできないけど、以前まで長くアパレル業界にいたので、一枚の服が出来上がるのに大変な労力がかかることは理解しているつもりだ。だけど、それもやはりこんなに身近で製作している光景を実際に見ていると、本当に大変な仕事だなぁと痛感する。ある程度大きな縫製工場であれば分業制だと思うけど、妻は一人で全て行っているから尚更である。販売会は、僕の大好きなあのお店です…。お楽しみに。

写真とは関係ないけど、今日は気分転換も兼ねて無印良品へ行ってきた。先日の写真展のフライヤーを置かせてもらっていたので、回収がてら店長さんにお礼のご挨拶もさせてもらった。四日市の近鉄百貨店にある店舗なんだけど、東京から転勤で来たと話す店長さんは、「この町の魅力をもっと知り、お店として発信していきたい」と話していた。偉いなぁと思った。地元の人でさえ、長年住んでいるにも関わらず、その町の歴史や魅力を知らない人は結構多い。ここでいう知る、というのは、美味しい食べ物も当然そうだけど、昔から今も変わらず残り続けているものである。〝コンビナート〟や〝四日市ぜんそく〟なら学校の教科書でも出てきたけど、それ以外の事は授業で教えてもらったりした覚えはない(たぶん)。ほとんどの子たちは、大きくなったらすぐ外の世界に興味を示し出して、自分の町をよく知ることなく大人になっていったり、あるいはそのまま県外へ出て行ってしまうような気がする。正直、以前までは僕も完全にその一人だった。「田舎には何もない」と言ってしまう人は、そもそも知ろうとしていないのである。「こんな場所があるよ」、「君の町に、こんな世界もあるよ」と、子どもたちに教える事ができるのは、大人しかいないのだ。魅力を見つける、という言い方よりも、まずは足を運んで知ろうとすること。それが大切である。

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